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2021年6月10日木曜日

公開質問状回答「日本共産党東京都議会議員団」

保育施策に関する公開質問状

1.保育所の待機児童は解消せず、数字には表れない隠れ待機児童も問題になっています。待機児童解消策についてどのように考えていますか。

〈回答〉

小池知事は4月1日時点の待機児童数が1000人を切る見込みだと述べていますが、これは待機児童を少なく見せるために国が改悪した定義に基づく数字です。
改悪された定義では、認証保育所などを利用している場合や、求職活動を休止した場合、復職を諦めて育休を延長した場合などは待機児童に含まれません。こうした、いわゆる隠れ待機児童の場合も含めれば、日本共産党都議団の調査では、待機児童数は今年も1万人を大きく超えています。
隠れ待機児童も含めて待機児童を解消するため、引き続き認可保育園を大幅に増やしていくことが重要だと考えています。

2.幼児(3~5歳児)の保育料は無償となりましたが、乳児(0~2歳児)の保育料は無償化されていません。保育料のあり方についてどのよう考えていますか。

〈回答〉

保育料は、0~2歳児も含めて無償化するべきだと考えています。 先日発表した、東京都議会議員選挙の重点公約では、当面の課題として第2子の保育料の無料化を掲げています。まずはこれを実現し、さらに保育の全面無償化に向けて取り組んでいきます。

3.新型コロナウィルス感染拡大防止の観点から、また、保育の質を拡充するという観点からも、私たちは、低すぎる保育の最低基準(職員配置基準、施設基準など)の改善が必要だと考えていますが、保育の基準のあり方について、貴会派はどのように考えていますか。

〈回答〉

現在の保育の最低基準はあまりに低く、大幅な引き上げが必要だと考えています。
4歳以上児に対する保育士の配置基準30対1は、1948年に定められて 以降、70年以上一度も改善されたことがなく、国際的にも非常に低い水準となっています。他の年齢の子どもに対する保育士の配置基準も低く、保育現場では 最低基準を上回って保育士を配置しています。
施設基準についても、全国社会福祉協議会が08年度に行った国際比較調査 では、3歳以上児1人あたりの面積基準は、ストックホルム市が7m²を超えているのをはじめ、パリ市が5m²以上などとなっているのに対し、日本は約2m²と、比較した14の国または自治体のなかで最低であるなど、日本の基準が低いことが明らかになっています。
最低基準を引き上げ、それを保障するための予算を確保するべきです。

4.東京の保育士不足は依然として深刻です。その主な原因は、厳しい労働条件や低すぎる賃金にあると言われていますが、保育士の労働条件や賃金について、どのように考えていますか。

〈回答〉

保育士の仕事は、子どもの発達を保障する非常に重要なものであるにもかかわらず、保育士の労働条件や賃金は低すぎます。
東京都が2018年に行った保育士実態調査では、保育士を辞めたいと考えている方の退職意向理由の1位は「給料が安い」で68.7%、2位は「仕事量が多い」で61.9%、3位は「労働時間が長い」で47.7%でした。保育士が働き続けられるようにするためにも、待遇改善は喫緊の課題です。
東京都の保育士の給与は、全産業の平均と比べて月あたりで10万円以上も低くなっています。政治の責任で、抜本的に引き上げることが求められています。また、低すぎる保育士の配置基準を引き上げ、保育の質の向上とともに、保育士の負担軽減を進める必要があります。

5.先般、全会一致で採択した「こども基本条例」は、東京の保育施策の中でどのように具体化されるべきだと考えていますか。

〈回答〉

東京都こども基本条例では、「こどもの権利条約を踏まえ、こどもの生きる権利、育つ権利、守られる権利及び参加する権利をはじめとした、こどもの権利を尊重し、擁護するための施策を推進するものとする」と定められています。
そして、子どもの権利条約では、「締約国は、児童の生存及び発達を可能な最 大限の範囲において確保する」と定められています。このことを保障するためには、保育の質を向上させるための最低基準の引き上げが不可欠です。
また、条例では、子どもの意見を聴く機会を設けて3年後に条例の見直しを行 うことが定められています。子どもの権利条約は、子どもが自らに影響を与える 事柄について意見を表明する権利を、年齢を制限することなく、保障しています。乳幼児も含めて子どもの意見に耳を傾け、条例の見直しに反映させることで、条例をより良いものにし、保育施策を含めた子どものための施策の充実につなげていくべきです。

6.その他、東京都の保育に対する見解や政策などがありましたらここに記載してください。

〈回答〉

新型コロナウイルスの感染拡大の中で、保育の重要性が改めて浮き彫りに なりましたが、医療従事者や高齢者福祉、障害者福祉の従事者には支給された国 の慰労金が保育士をはじめとした保育の従事者には支給されていません。国が 行わないのであれば、都として支給に踏み出すべきです。
また、新型コロナウイルスの感染拡大を防止するため、高齢者施設や障害者施設で行われている一斉、定期的なPCR検査を、保育施設でも行うべきです。

党名・会派名等

日本共産党東京都議会議員団

2021年6月9日付けでご回答頂きました。
ご協力ありがとうございました。
公的保育・福祉を守る東京実行委員会